<弁護士交通事故裁判例>黙示の元本充当合意が成立していたと認めた事例

2018-03-05

損害の填補:加害者側任意保険会社は、被害者に対し、3367万3549円の損害賠償金を支払ったが、これは被害者の人身損害に充当するのが相当である。被害者に対する損害賠償金の支払状況が記載された通知書には「四 内払」の項に「H22.11.1以降については、損害賠償金の元本への充当合意あり」と記載されているから、H22.11.9、同12.8、H23.1.6に支払われた合計1500万円については、元本充当合意があったと認められるが、H22.8.10、同9.28に支払われた合計1000万円については、元本充当合意は認められず、遅延損害金から優先的に充当するのが相当である。被害者は、元本充当合意がある合計1500万円以外については、全て遅延損害金から優先的に充当すべきと主張するが、本件通知書の上記記載は「四 内払」の項に記載された合計2500万円に関する記載と解され、それ以外の費目(治療費、交通費等およびその他諸雑費)に係る支払を損害賠償金の元本に充当することを否定する趣旨とは解されない。治療費、交通費およびその他雑費については、支払の対象が明確であり、実損害の填補を目的とする損害賠償の内払であることが明らかというべきであるから、これらの支払については、被害者と任意保険会社との間で、黙示の元本充当合意が成立していたと認めるのが相当である。

(東京地裁平成26年12月24日判決)

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