<弁護士交通事故裁判例>事故から20年以上後の訴訟提起を除斥期間内と認めた事例

2017-10-27

被害者は,平成24年8月8日に後遺障害について症状固定の診断を受け,その診断書を任意保険会社に提出して,平成24年9月26日頃に併合10級に相当するとの認定を受け,それから6か月以内の平成25年2月23日にに本訴を提起したが,本件事故日からは20年以上が経過している。そこで検討するに,平成24年8月8日に症状固定の診断を受けても,事前認定の結果が出る前に訴えの提起を求めるのは困難であることおよび事前認定を受けた平成24年9月26日頃から訴えの提起を準備するとしても,6か月の期間は通常必要と認められることからすれば,被害者は症状固定の診断書を任意保険会社に提出して事前認定の手続を進めさせてから平成25年2月23日本訴提起までの経過は,被害者が損害賠償請求権を行使する一連一体の行為と捉えることができ,本件事故から20年除斥期間の満了は阻止されたことになると判断するのが相当である。自賠責保険の付保されている本件事故においてその損害賠償請求権行為の行為を一定の時間的な幅を持つものと捉えたとしても,その幅症状固定の診断書を提出して事前認定の手続を進めさせてから認定結果が出るまでの事前認定手続期間および事前認定から6か月の訴え提訴準備期間に限られているから,法律関係を画一的に確定しようとする除斥期間の趣旨を乱すことはないというべきである。

(水戸地裁下妻支部平成25年10月11日判決)

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