<弁護士・交通事故裁判例>自由診療において診療報酬の合意を欠いた場合に,健康保険法の診療報酬体系を基準として診療報酬額を算定した事例

2015-04-23

 医師の診療行為が必要適切か否かを審査する基準は,診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準に照らし,診療当時の患者の具体的な状況に基づいて客観的に判断して適応を有する病状も存在しないのに,これを存在するとして治療するなど当該治療行為が合理性を欠く診断に基づいてなされたものであるときなど,当該診療行為が医師の有する裁量の範囲を超えたものと認められる場合に限り,必要適切なものとはいえない過剰な診療行為というべきである。
 自由診療においても診療報酬額は,社会通念に従った合理的なものであることが必要であり,交通事故においては,一層そのことが要請される。健康保険法の診療報酬体系には,一般の診療報酬を算定する基準としての合理性も存するのであって,自由診療における診療報酬についての合意を欠く場合の診療報酬額についても,健康保険法の診療報酬体系を基準とし,かつ,ほかにこれを修正すべき合理的な事情が認められる場合には,当該事情を考慮し,それらに即応した修正を加えて相当な診療報酬を決定するのが相当である。

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