<弁護士・交通事故裁判例>自由診療での診療報酬について合意を欠く場合は,健康保険法の診療報酬体系(1点単価10円)が原則であることを判示した事例

2015-04-24

 現在では,ほとんどの診療報酬が健康保険法の診療報酬体系により算定されているが,当該体系は,診療報酬に利害関係を有する各界の意見および公益を十分に反映させ,その調和を図りつつ公正妥当に定められている。そのなかで,1点単価を10円とし,診療報酬点数表の点数にこれを乗じて診療報酬額を算定する方法は,一般の診療報酬算定の基準として,合理性を有するものである。
 自由診療において,診療報酬についての合意を欠く場合であっても,原則として診療報酬体系(1点10円)が診療報酬算定の基準となり,ただこれを修正すべき合理的事情が認められる場合には,その事情を考慮して基準に対し,当該事情に即した修正を加え,相当な診療報酬を決定するのが相当と解すべきである。(本件判決は,自賠責診療単価が,公立病院1点20円,その他神戸・阪神地区の病院1点26円から30円であること,他の患者の場合で1点単価25円で診療報酬の支払いを受けたことがあること,等の各事実を総合して,診療報酬体系を修正すべき合理的事情があると認め,1点単価25円で算定した治療費を被害者の損害として認容した。)
(神戸地裁平成4年3月27日判決)

Copyright(c) 2016 ありあけ法律事務所 All Rights Reserved.