自算会が非該当とした女子学生の後遺障害につき,9級10号に該当するとし,逸失利益につき素因減額を認めなかった事例(H15.5.8東京地判)

2021-10-04

被害者は,事故時が高校生で,症状固定時は大学生である。被害者には,特に右手関節の筋力の低下,右上肢から右腰部にかけての知覚鈍麻,具合がよいときは杖なしで足をひきずってゆっくり歩行が可能であるが具合が悪ければ杖を使って歩行できる程度の歩行障害等の後遺障害が残存した。自算会は非該当としたが,被害者の後遺障害等級は,9級10号に該当し,生涯にわたってその労働能力の35%を喪失したと認めるのが相当である。被害者の治療の長期化や後遺障害にも精神的な要因が影響している可能性は考えられるが,鑑定においてその可能性が指摘されるのみで,他の診断書や医師の所見にその旨の記載はなく,被害者の損害につき素因減額をすることはしない。

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