強姦事件の再審決定 診療記録、証言と矛盾 大阪地裁

2015-02-27

 強姦(ごうかん)されたという女性の訴えとは矛盾する診療記録があったのに、女性の証言をもとに起訴された男性の裁判で審理対象になっていなかったことがわかった。無罪を主張した男性の実刑判決が確定し、服役中に診療記録の存在が判明。大阪地検が昨年11月に刑の執行を停止する異例の措置につながった。大阪地裁(登石〈といし〉郁朗裁判長)は27日、「無罪を言い渡すべき新証拠がある」とし、再審開始の決定を出した。

 関係者によると、男性は大阪市内で2004年と08年に同じ女性を襲い、同年にもこの女性の胸をつかむなどしたとして強姦と強制わいせつの罪で逮捕、起訴された。男性は「やっていない」と主張したが、09年の大阪地裁判決は懲役12年の実刑を言い渡した。大阪高裁が控訴を棄却し、11年には最高裁が上告を退けて確定した。

 その後、控訴審で弁護を担当した弁護人が女性や事件の目撃者とされた家族から聞き取り調査。2人が確定判決の根拠となった被害証言を「うそだった」と翻したため、昨年9月に再審を請求した。地検も2人が虚偽の証言をしていたことに加え、「男性が事件に関与していないと示す『客観的証拠』も確認した」として、昨年11月18日に男性の刑の執行を止めて釈放したと発表した。男性の服役は約3年6カ月に及んだ。
(朝日新聞より)

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